ヘリコプター操縦士になるには

資格・費用・キャリア
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ヘリコプター操縦士になるには|資格取得の全ステップ

01ヘリコプター操縦士への道 全体像

資格取得の流れ
ヘリコプター操縦士になるためには、自家用操縦士→事業用操縦士→就職→型式限定→定期運送用操縦士という段階的なステップを踏むのが一般的なルートです。最短でもプロとして働けるまでに2〜4年かかります。
ステップ 主な要件 目安期間・費用
1 身体検査(第二種) 航空身体検査医による検査。視力・心肺機能等 訓練開始前に取得
2 自家用操縦士取得 飛行時間40時間以上・学科試験・実地試験 6〜12ヶ月・約500〜700万円
3 事業用操縦士取得 飛行時間150時間以上(機長50時間以上)・学科・実地 1〜2年追加・計1,500〜2,500万円
4 身体検査(第一種) 事業用取得と同時期に取得。より厳格な基準 就職前に取得必須
5 就職・型式限定変更 航空会社・官公庁等への就職。会社の機種に型式転換 就職後1〜3ヶ月の型式訓練
6 定期運送用操縦士 総飛行時間1,500時間以上・機長250時間以上 就職後5〜10年以上

02自家用操縦士(回転翼)の取得

自家用操縦士の要件(施行規則より)
自家用操縦士(回転翼航空機)を取得するには、17歳以上であること、有効な航空身体検査証明(第二種以上)を持つこと、所定の飛行経験を有すること、学科試験および実地試験に合格することが必要です。
要件項目 詳細
最低年齢 17歳以上(実地試験受験時)
総飛行時間 40時間以上(うち単独飛行10時間以上)
単独飛行 単独飛行10時間以上(うち単独野外飛行5時間以上)
計器飛行訓練 計器飛行5時間以上(うち実機での計器飛行3時間以上)
学科試験科目 航空工学・航空気象・空中航法・航空通信・航空法規
実地試験 場周経路・緊急手順・オートローテーション・ホバリング等
身体検査 第二種航空身体検査証明(有効期間は年齢による)

自家用操縦士は「報酬を受けないで無償の運航を行う航空機の操縦」のみ可能です。趣味でヘリを飛ばす・自家用として使用するといった用途に限られ、仕事として報酬をもらって飛ぶことはできません。プロを目指す場合は自家用取得後、引き続き事業用の訓練に進むのが一般的です。

国内・海外訓練の選択:自家用操縦士の訓練は国内の訓練校でも、米国・オーストラリア等の海外訓練校でも取得可能です。海外取得の場合、国内での書き換え手続きが必要です。費用・期間・環境の違いについてはキャリア-005で詳しく解説しています。

03事業用操縦士(回転翼)の取得

事業用操縦士の要件
事業用操縦士(回転翼航空機)は、18歳以上・総飛行時間150時間以上(うち機長としての飛行時間50時間以上)などの要件を満たし、学科試験・実地試験に合格することで取得できます。
要件項目 詳細
最低年齢 18歳以上
総飛行時間 150時間以上
機長飛行時間 機長として50時間以上(うち野外飛行10時間以上)
計器飛行訓練 計器飛行10時間以上
夜間飛行訓練 夜間飛行5時間以上(うち単独飛行3回以上の離着陸)
学科試験科目 自家用の5科目+人間の能力と限界
身体検査 第一種航空身体検査証明(有効期間1年)

事業用操縦士を取得することで、報酬を受けての飛行・航空機使用事業(遊覧飛行・農薬散布・測量・報道取材など)の操縦・航空運送事業の副操縦士業務が可能になります。これがプロのヘリコプターパイロットとして働くための最低限の資格です。

事業用操縦士を取得しても、最初から単独で機長として商業飛行できるわけではありません。就職後は会社の機種への型式限定変更訓練・副操縦士としての経験積み・社内審査通過などの過程を経て、初めて機長として運航できるようになります。

04就職・型式限定変更

事業用操縦士と第一種身体検査証明を取得後、いよいよ航空会社・官公庁・報道機関等への就職活動となります。採用後は会社が運航する機種への型式限定変更訓練(型式転換)を受けます。

就職先の種別 主な業務 使用機種の例
民間ヘリコプター会社 遊覧・報道・資材輸送・農薬散布・測量 AS350・R44・EC135等
ドクターヘリ運航会社 救急医療支援・病院間搬送 EC135・BK117等
消防・防災ヘリ(官公庁) 消火・救助・災害対応 AW139・BELL412等
海上保安庁・警察 捜索救助・警備・監視 EC225・AW139・EC135等
オフショア運航会社 海上油田・洋上風力への人員輸送 AW139・EC225・S92等
報道・テレビ局系 ニュース取材・中継・交通情報 AS350・MD500・AW139等

型式限定変更訓練は通常、地上学校(型式の構造・システム・緊急手順の座学)→シミュレーター訓練→実機訓練→社内審査というステップで進みます。期間は機種の複雑さにより1〜3ヶ月程度が一般的です。大型双発機(AW139・EC225等)の場合はより長期にわたります。

05定期運送用操縦士へのステップアップ

定期運送用操縦士(回転翼)の主な要件
定期運送用操縦士(回転翼航空機)は、21歳以上・総飛行時間1,500時間以上(うち機長としての飛行時間250時間以上)などの要件を満たし、学科・実地試験に合格することで取得できます。
要件項目 詳細
最低年齢 21歳以上
総飛行時間 1,500時間以上
機長飛行時間 250時間以上(うち野外飛行100時間・夜間飛行50時間以上等)
計器飛行時間 75時間以上(うち実機50時間以上)
業務範囲の拡大 2人乗務が必要な大型ヘリの機長が可能になる

定期運送用操縦士は、ヘリコプターパイロットとしての最高位の資格です。大型双発機(AW139・EC225・S-92等)の機長として航空運送事業を行うために必要です。就職後5〜10年以上の経験を積んで取得するのが一般的なキャリアパスです。

キャリアの全体像:訓練開始から定期運送用操縦士取得まで、順調に進んでも10年以上かかることが多いです。しかし事業用操縦士取得後から収入を得ながら経験を積めるため、訓練費用の自己負担は事業用取得までの段階が最大の山場です。

06口述試験 Q&A

Q自家用操縦士と事業用操縦士の最低飛行時間の違いを答えてください。
自家用操縦士(回転翼)は総飛行時間40時間以上(うち単独飛行10時間以上)が必要です。事業用操縦士(回転翼)は総飛行時間150時間以上(うち機長として50時間以上、野外飛行10時間以上)が必要です。事業用は自家用の約4倍の飛行時間が求められます。
自家用=40時間以上。事業用=150時間以上(機長50時間以上)。
Q定期運送用操縦士に必要な総飛行時間と最低年齢は?
定期運送用操縦士(回転翼)は、21歳以上であること、総飛行時間1,500時間以上(うち機長として250時間以上)であることが主な要件です。就職後に経験を積みながら取得するのが一般的で、事業用取得後も5〜10年以上かかることが多いです。
定期運送用=21歳以上・1,500時間以上・機長250時間以上。

まとめ

  • ルート:身体検査→自家用(40時間)→事業用(150時間)→就職・型式転換→定期運送用(1,500時間)。
  • プロとして報酬を受けて飛ぶには事業用操縦士+第一種身体検査証明が最低条件。
  • 就職後は会社の機種への型式限定変更訓練(1〜3ヶ月)を経て副操縦士からスタート。
  • 定期運送用は1,500時間・機長250時間以上・21歳以上。大型双発機の機長に必要。
  • 訓練開始から定期運送用取得まで順調でも10年以上。事業用取得が最大の費用的山場。

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