IFR(計器飛行)
IFR飛行計画(フライトプラン)の記載要領完全ガイド|各欄の書き方と提出手順を現役パイロットが解説
📋 この記事でわかること
- IFRフライトプラン(飛行計画)の提出義務と根拠
- 飛行計画書の各欄(フォーム欄)の記載内容と書き方
- 提出先・提出タイミング・変更・取消の手順
- 口述試験で問われるポイントと模範回答
IFRで飛行するには、飛行計画(フライトプラン)の提出が法的に義務づけられています。「どこに・いつ・何を書くか」を正確に理解していないと、試験でも実務でも答えに詰まります。フォームの各欄が何を意味し、なぜその情報が必要なのかを理解することが、口述試験対策の要です。ヘリコプターだけでなく飛行機のパイロットを目指す方にも共通して役立つ内容です。
✓ この記事が役立つ人
- 計器飛行証明の口述試験を控えている方
- フライトプランの各欄の意味を正確に説明できるようになりたい方
- IFR飛行の実務的な手続きを体系的に理解したい方
⚠ こんな方は先に基礎を
- 計器飛行方式(IFR)の定義・要件がまだ曖昧な方
- 搭載燃料・代替飛行場の条件をまだ理解していない方
目次
- 飛行計画の提出義務と法的根拠
- 提出先・提出タイミング
- 飛行計画書の各欄記載要領
- 飛行計画の変更・取消・到着通報
- 口述試験Q&A
- まとめ
01 飛行計画の提出義務と法的根拠
定義
飛行計画(フライトプラン)とは、パイロットが飛行前に管制機関または情報機関に提出する、飛行に関する情報を記載した書類をいう。IFRによる飛行を行う場合は、航空法施行規則により飛行計画の提出が義務づけられている。
VFRでも飛行計画を出すことがありますよね?IFRとの違いは何ですか?
VFRの飛行計画は任意提出が基本ですが、IFRは義務です。IFRでは管制機関の指示に常時従って飛行するため、管制側が飛行の全体像を把握している必要があります。飛行計画はその情報共有の基盤です。
IFR飛行計画の提出義務は航空法施行規則第206条に規定されています。計器飛行方式による飛行を行う航空機の機長は、出発前に飛行計画を提出しなければなりません。飛行計画は管制機関が分離方式(セパレーション)を提供するための基礎情報であり、捜索救難(SAR)活動の起点にもなります。
🔑 飛行計画が必要な主な飛行種別
IFRによる飛行(必須)/管制区内を飛行するVFR飛行(速度251kt以上)/国境を越える飛行/捜索救難に関係する飛行。このうち計器飛行証明に関連して最も重要なのはIFR飛行における義務的提出である。
IFRによる飛行(必須)/管制区内を飛行するVFR飛行(速度251kt以上)/国境を越える飛行/捜索救難に関係する飛行。このうち計器飛行証明に関連して最も重要なのはIFR飛行における義務的提出である。
02 提出先・提出タイミング
飛行計画の提出先と提出タイミングは、口述試験で必ず確認される事項です。実務と試験の両面から整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 出発飛行場の飛行場管制所(TWR)または飛行情報センター(FIC)。管制飛行場でない場合は東京飛行情報センター(RJTTYNYX)等に提出 |
| 提出時期 | 出発予定時刻の原則60分前までに提出。遅くとも出発30分前を目安とする |
| 提出方法 | 直接窓口への提出、電話、またはAFTN(航空固定通信網)経由の電文送信 |
| 有効時間 | 提出した飛行計画は、提出後の一定時間内に離陸しなければ失効する。日本では出発予定時刻から2時間以内に離陸しない場合は再提出が必要 |
⚠ 飛行計画の失効に注意
出発予定時刻(EOBT)から大幅に遅延し2時間を超えた場合、提出済みの飛行計画は失効する。この場合は管制機関に連絡のうえ新たに飛行計画を提出しなければならない。
出発予定時刻(EOBT)から大幅に遅延し2時間を超えた場合、提出済みの飛行計画は失効する。この場合は管制機関に連絡のうえ新たに飛行計画を提出しなければならない。
03 飛行計画書の各欄記載要領
日本で使用するIFR飛行計画書はICAO標準フォーム(Form 7)に準拠しており、各欄に定められた形式で記載します。主要な欄の内容を解説します。
欄が多くて覚えるのが大変そうですが、何かコツはありますか?
「誰が・何で・どこから・どこへ・どうやって・どれだけ」という飛行の骨格を伝えるためのものと考えると整理しやすいです。各欄がその要素のどれに対応するかを意識して覚えましょう。
| 欄番号 | 項目名 | 記載内容・形式 |
|---|---|---|
| 欄7 | 航空機識別符号 | 航空機登録記号またはコールサイン(例:JA1234、最大7文字) |
| 欄8 | 飛行方式・飛行の種類 | 飛行方式:I(IFR)、V(VFR)、Y(IFRのちVFR)、Z(VFRのちIFR)。飛行の種類:S(定期航空)、N(不定期航空)、G(一般航空)等 |
| 欄9 | 機数・機種・乱気流カテゴリー | 機数(通常1)+機種記号(例:R22、AS350)+乱気流カテゴリー(L:軽・M:中・H:重・J:超重量) |
| 欄10 | 装備品・能力 | 無線装備(S=標準VHF等)とナビゲーション装備を記号で記載。IFRではR(PBNあり)やG(GNSS)等を記載 |
| 欄13 | 出発飛行場・出発時刻 | 出発飛行場のICAO識別符号(4文字、例:RJTT)+EOBT(出発予定時刻、UTC、4桁) |
| 欄15 | 巡航速度・巡航高度・経路 | 巡航速度(例:N0080=80kt)+巡航高度(例:A030=3000ft気圧高度)+経路(SID名・航空路・ウェイポイント等) |
| 欄16 | 目的地・所要時間・代替飛行場 | 目的地ICAOコード+総所要時間(HHMM)+代替飛行場ICAOコード(最大2ヶ所) |
| 欄18 | その他の情報 | 欄15・16に収まらない情報。代替飛行場2ヶ所目以降(ALTN/)、PBN能力(PBN/)、機体情報(TYP/)等 |
| 欄19 | 補足情報 | 搭載燃料時間(E/)、搭乗者数(P/)、非常用装備(R/・S/・J/)、機体色(A/)、機長氏名(N/)等 |
🔑 欄10の装備品コード(試験頻出)
欄10は「無線装備」と「ナビゲーション装備」を記号で記載する。標準装備(VHF・VOR・ILS)の場合は「S」。GPS/GNSSを装備する場合は「G」を追記。IFR必須装備を持たない場合は「N」(装備なし)。管制官が分離・経路承認の判断に使う重要欄。
欄10は「無線装備」と「ナビゲーション装備」を記号で記載する。標準装備(VHF・VOR・ILS)の場合は「S」。GPS/GNSSを装備する場合は「G」を追記。IFR必須装備を持たない場合は「N」(装備なし)。管制官が分離・経路承認の判断に使う重要欄。
欄15:巡航速度の記載形式
巡航速度はノット(N)・マッハ(M)・km/h(K)のいずれかで記載する。ノットの場合は「N」+4桁(例:N0080=80kt)。マッハの場合は「M」+3桁(例:M082=マッハ0.82)。高度はフィート気圧高度(A)・飛行レベル(F)・メートル(M)のいずれか。気圧高度3,000ftなら「A030」と記載する。
欄19:搭載燃料時間(E/)
欄19のE/は搭載燃料を時間換算で記載する。形式はHHMM(時分)。たとえば燃料搭載量が3時間30分分であれば「E/0330」と記載する。捜索救難(SAR)活動において「いつまで飛行可能か」を示す重要情報。
04 飛行計画の変更・取消・到着通報
飛行計画は提出後も変更・取消ができます。また到着後の通報義務も重要な確認事項です。
| 手続きの種類 | 内容・手順 |
|---|---|
| 飛行計画の変更 | 出発前の変更は飛行計画提出先に連絡。飛行中の経路・高度変更は管制承認(クリアランス)を取得した時点で計画が更新される |
| 飛行計画の取消 | 飛行を中止する場合、速やかに提出先に取消を連絡する。連絡を怠ると捜索救難が発動される可能性がある |
| 到着通報(ARR) | 目的地に到着したら到着通報を行う義務がある。IFRの場合、着陸後に管制機関または飛行情報センターへ到着を通報する。通報がない場合は行方不明扱いとなりSARが発動される |
| 到着通報の期限 | 着陸後30分以内に通報するのが原則。通報先は目的地の飛行場管制所またはFIC |
⚠ 到着通報の怠りは捜索救難を引き起こす
IFR飛行計画を提出したまま到着通報を行わない場合、ETA(予定到着時刻)から一定時間が経過すると自動的にアラートが発令され、SAR機関が活動を開始する。到着通報は着陸後速やかに行うこと。
IFR飛行計画を提出したまま到着通報を行わない場合、ETA(予定到着時刻)から一定時間が経過すると自動的にアラートが発令され、SAR機関が活動を開始する。到着通報は着陸後速やかに行うこと。
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05 口述試験Q&A
IFRフライトプランに関して口述試験で問われやすい質問と模範回答です。
IFRによる飛行において飛行計画の提出が義務づけられている根拠を述べてください。
航空法施行規則第206条に規定されており、計器飛行方式による飛行を行う機長は出発前に飛行計画を提出しなければなりません。管制機関が分離方式を提供するための基礎情報であり、捜索救難の起点にもなります。
キーワード:航空法施行規則206条・義務・分離方式・捜索救難
飛行計画書の欄19(E/)に記載する内容は何ですか?
搭載燃料を飛行可能時間に換算した値で、HHMM形式で記載します。たとえば3時間30分分の燃料であれば「E/0330」と記載します。捜索救難において機体がいつまで飛行可能かを示す情報として使用されます。
キーワード:搭載燃料時間・HHMM・E/・捜索救難
飛行計画書の欄8に記載する飛行方式の種別コードを説明してください。
I(IFR)・V(VFR)・Y(IFRのちVFR)・Z(VFRのちIFR)の4種類があります。IFR飛行の場合は「I」を記載します。YとZは飛行中に方式を変更する場合に使用します。
キーワード:I・V・Y・Z・飛行方式コード・欄8
到着通報を怠った場合、どのようなことが起こりますか?
予定到着時刻(ETA)から一定時間が経過すると、管制機関または飛行情報センターが行方不明扱いとし、捜索救難(SAR)機関への通報・SAR活動の発動につながります。着陸後30分以内に速やかに通報することが義務です。
キーワード:到着通報・SAR発動・ETA・30分以内
飛行計画書の欄15における巡航速度の記載形式を説明してください。
ノットの場合は「N」に続けて4桁の数字で記載します。たとえば80ノットなら「N0080」です。マッハの場合は「M」に続けて3桁(例:M082)、km/hの場合は「K」に続けて4桁(例:K0150)で記載します。
キーワード:N4桁・M3桁・K4桁・巡航速度記載形式・欄15
まとめ
- ✓IFRによる飛行では飛行計画の提出が義務であり、根拠は航空法施行規則第206条
- ✓提出先は出発飛行場の管制機関またはFIC。出発60分前(遅くとも30分前)までに提出
- ✓欄8(飛行方式)・欄10(装備品)・欄15(速度・高度・経路)・欄16(目的地・代替)・欄19(燃料時間・搭乗者)が主要欄
- ✓欄15の巡航速度はN(ノット)4桁・M(マッハ)3桁・K(km/h)4桁の形式で記載
- ✓到着後30分以内に到着通報を行う義務がある。怠るとSARが発動される
【免責事項】本記事は口述試験対策を目的とした解説記事です。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、法令・制度の詳細は変更される場合があります。実際の飛行および試験準備にあたっては、最新のAIP(航空路誌)・航空法令・所属訓練機関の指示を必ずご確認ください。
