航空法規
航空法における定義|航空機・航空業務・航空従事者とは
01航空法における「定義」の重要性
なぜ定義を学ぶのか
法律における「定義」とは、その法律の中で使われる用語が何を意味するかを明確に規定したものです。航空法第2条に定義が集中しており、この条文を正確に理解することで、他の条文の意味も正確に把握できます。試験でも定義の正確な理解が問われます。
「航空機」「航空業務」「航空従事者」などの用語は日常語とは異なる法的な意味を持っています。例えば「航空機」の定義を正確に知らなければ、どの乗り物に航空法が適用されるかが判断できません。法律の条文を読む際は必ず定義に立ち返る習慣をつけることが重要です。
02航空機の定義
航空機(法2条1号)
「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいう。
この定義には重要な要素が2つあります。第一に「人が乗って」という要件です。これにより無人航空機(ドローン等)は航空法の「航空機」には該当せず、別途無人航空機に関する規定(航空法第11章)が適用されます。第二に「航空の用に供することができる」という要件です。実際に飛行しているかどうかではなく、飛行できる状態にある機器が対象となります。
| 種別 | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| 飛行機 | 固定翼・動力装置による揚力発生 | セスナ、旅客機 |
| 回転翼航空機 | 回転するローターによる揚力発生 | ヘリコプター、オートジャイロ |
| 滑空機 | 動力なし(またはごく小さな動力)で飛行 | グライダー |
| 飛行船 | 気体の浮力を利用して飛行 | ブリンプ、ツェッペリン |
| 政令で定める機器 | 上記以外で政令が指定するもの | 超軽量動力機等 |
重要:「無人航空機」は航空法第2条22号に別途定義されており、航空法の「航空機」とは区別されます。無人航空機とは「構造上人が乗ることができないもの」で、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるものをいいます。
03航空業務・航空従事者の定義
航空業務(法2条2号)
「航空業務」とは、航空機に乗り組んでその運航(航空機に乗り込んで行う無線設備の操作を含む)および整備または改造をした航空機について行う航空法第19条第2項に規定する確認をいう。
航空従事者(法2条3号)
「航空従事者」とは、航空法第22条の航空従事者技能証明を受けた者をいう。
「航空従事者」の定義が「技能証明を受けた者」であることは重要です。技能証明を持たない者は法律上「航空従事者」ではなく、航空業務を行うことができません。
| 技能証明の種類 | 主な業務範囲(概要) |
|---|---|
| 定期運送用操縦士 | 事業用操縦士のできる行為+航空運送事業の2人乗務機の機長 |
| 事業用操縦士 | 自家用操縦士のできる行為+報酬を受けた運航・事業機の操縦 |
| 自家用操縦士 | 報酬を受けないで無償の運航を行う航空機の操縦 |
| 准定期運送用操縦士 | 機長以外の操縦者として2人乗務機の操縦 |
| 航空機関士 | 発動機および機体の取扱い(操縦装置の操作を除く) |
| 航空通信士 | 無線設備の操作 |
| 航空士(一等・二等) | 航空機の位置および針路の測定ならびに航法上の資料の算出 |
04空港・航空保安施設・その他の定義
航空法第2条には空港や空域に関する重要な定義も含まれています。これらを正確に理解することで、飛行禁止区域・管制空域に関する規定の適用範囲が明確になります。
| 用語 | 定義(法2条) |
|---|---|
| 空港(4号) | 空港法第2条に規定する空港(自衛隊または米軍との共用空港を除き、公共の用に供する飛行場)をいう。 |
| 航空保安施設(5号) | 電波、灯光、色彩または形象により航空機の航行を援助するための施設で、①航空保安無線施設②航空灯火③昼間障害標識の3種類がある。 |
| 航空交通管制区(12号) | 地表または水面から200メートル以上の高さの空域であって、航空交通の安全のために国土交通大臣が航空交通管制区・航空交通管制圏等の指定に関する告示で指定するもの。 |
| 航空交通管制圏(13号) | 航空機の離陸および着陸が頻繁に実施される国土交通大臣が指定する空港等ならびにその付近の上空の空域であって、航空交通の安全のために国土交通大臣が告示で指定するもの。 |
| 航空交通情報圏(14号) | 前13号に規定する空港等以外の国土交通大臣が告示で指定する空港等およびその付近の上空の空域。管制ではなく情報提供が行われる。 |
| 航空運送事業(18号) | 他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客または貨物を運送する事業。 |
| 航空機使用事業(21号) | 他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客または貨物の運送以外の行為の請負を行う事業。農薬散布、測量、報道取材など。 |
05計器気象状態・有視界気象状態の定義
計器気象状態(IMC)(法2条15号)
「計器気象状態」とは、視程および雲の状況を考慮して次に示す「有視界気象状態」以外の視界が不良な気象状態をいう。
有視界気象状態(VMC)
「有視界気象状態」とは、飛行高度および飛行空域に応じた飛行視程、航空機からの各距離の範囲内に雲のない状態、および空港等に適用される気象状態をいう。
VMCの基準は飛行高度と空域によって異なります。法第10章の表10-3に示されるように、3,000m(10,000ft)以上の高度では飛行視程8,000m・雲から垂直300m/水平1,500m、3,000m未満の管制区・管制圏・情報圏を飛行する場合は視程5,000m・雲から垂直150m/水平600mが要求されます。
| 飛行空域区分 | 飛行視程 | 雲から上方 | 雲から下方 | 雲から水平 |
|---|---|---|---|---|
| 3,000m以上の高度 | 8,000m | 300m | 300m | 1,500m |
| 3,000m未満・管制区/管制圏/情報圏 | 5,000m | 150m | 300m | 600m |
| 3,000m未満・管制区等以外 | 1,500m | 150m | 300m | 600m |
| 地表/水面から300m以下・管制区等以外(ヘリ除く) | 1,500m | 雲から離れて飛行でき、かつ操縦者が地表または水面を引き続き視認できる状態 | ||
計器飛行(法2条16号)
「計器飛行」とは、航空機の姿勢、高度、位置および針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行をいう。
計器飛行方式(法2条17号)
「計器飛行方式」とは、管制圏・管制区等からの離陸・上昇・着陸・降下を航空交通管制機関の指示による経路により、かつその他の飛行を同項の規定により国土交通大臣の与える航空交通の指示に常時従って行う飛行の方式をいう。
06口述試験 Q&A
Q航空法における「航空機」の定義を答えてください。
航空法における「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいいます(法2条1号)。「人が乗って」という要件があるため、無人航空機(ドローン等)は「航空機」には含まれず、別途無人航空機に関する規定が適用されます。
航空機=人が乗って航空の用に供できる機器。無人航空機は含まれない。
Q「航空従事者」とは何ですか?
航空従事者とは、航空法第22条の航空従事者技能証明を受けた者をいいます(法2条3号)。つまり技能証明を持っていない者は法律上「航空従事者」ではなく、航空業務を行うことができません。技能証明には定期運送用操縦士・事業用操縦士・自家用操縦士・准定期運送用操縦士・航空機関士・航空通信士・航空士(一等・二等)・航空整備士等の種類があります。
航空従事者=技能証明を受けた者。証明なしに航空業務は行えない。
Q「航空交通管制圏」と「航空交通情報圏」の違いを説明してください。
航空交通管制圏は、離着陸が頻繁に行われる空港等の付近の空域で、国土交通大臣が告示で指定します。管制圏内では航空交通管制(ATC)によるクリアランスが必要です。航空交通情報圏は管制圏が指定されていない空港等の付近の空域で、管制業務は行われませんが、飛行場対空援助局(レディオ)により飛行情報が提供されます。管制圏では「指示に従う義務」があり、情報圏では「情報を活用する義務」があるという違いがあります。
管制圏=クリアランス必要・指示に従う義務。情報圏=情報提供のみ・クリアランス不要。
Q「計器飛行」と「計器飛行方式」の違いを説明してください。
計器飛行とは、航空機の姿勢・高度・位置・針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行のことです。計器飛行方式(IFR)とは、管制機関の指示に常時従って行う飛行の方式であり、単に計器を使って飛ぶという行為(計器飛行)とは異なります。計器飛行方式では、飛行計画の提出・管制承認の取得・位置通報など多くの義務が伴います。
計器飛行=計器だけを頼りに飛ぶ行為。計器飛行方式=ATC指示に従う飛行方式(IFR)。
まとめ
- ✓航空機=人が乗って航空の用に供できる飛行機・回転翼航空機・滑空機・飛行船等。無人航空機は含まない。
- ✓航空従事者=技能証明(法22条)を受けた者。証明なしに航空業務は行えない。
- ✓管制圏=クリアランス必要。情報圏=情報提供のみ。この違いは飛行手順に直結する。
- ✓VMCの基準は高度・空域によって異なる。3,000m以上は視程8,000m、管制区等は5,000m。
- ✓計器飛行(行為)≠計器飛行方式(IFR)。方式にはATC指示への常時従属義務が伴う。

