航空身体検査証明の種類と有効期間|第一種・第二種の違い
01航空身体検査証明とは
技能証明を持っていても、有効な航空身体検査証明を持っていなければ航空業務を行うことはできません。航空身体検査証明の有効期間はICAO ANNEX 1に準拠して、技能証明の資格ごとに、当該航空身体検査証明を受ける者の証明書の交付日における年齢および心身の状態ならびにその者が乗り組む航空機の運航の態様に応じて定められています(法32条)。
02航空身体検査証明の種類
航空身体検査証明には第一種と第二種があり、要求される身体基準の厳しさが異なります。
| 種類 | 適用される技能証明 | 身体基準の特徴 |
|---|---|---|
| 第一種 | 定期運送用操縦士・事業用操縦士・准定期運送用操縦士・航空機関士 | 最も厳格な基準。視力・心肺機能・精神的適性等の高い水準が求められる。 |
| 第二種 | 自家用操縦士・一等/二等航空士・航空通信士 | 第一種より緩和された基準。ただし飛行の安全に必要な最低限の身体要件は満たす必要がある。 |
重要:ヘリコプターの事業用操縦士として勤務する場合は第一種航空身体検査証明が必要です。自家用操縦士として趣味で飛ぶ場合は第二種で足ります。
03有効期間の詳細(資格・年齢別)
有効期間は資格・年齢・飛行の種類によって細かく定められています。
| 対象者 | 有効期間 |
|---|---|
| 定期運送用操縦士・事業用操縦士(40歳未満) | 1年(ただし航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦を行う60歳以上の者は6ヶ月) |
| 定期運送用操縦士・事業用操縦士(40歳以上) | 1年(ただし航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦を行う60歳以上の者は6ヶ月) |
| 自家用操縦士(40歳未満) | 5年または有効期間の起算日(証明書の交付日)から42歳の誕生日の6ヶ月前の日、もしくは42歳以上50歳未満の者は2年または有効期間の起算日から51歳の誕生日の期間のうちいずれか短い期間 |
| 自家用操縦士(50歳以上) | 1年 |
| 准定期運送用操縦士 | 1年(ただし航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦を行う60歳以上の者は6ヶ月) |
| その他の航空機乗組員 | 1年 |
まとめ:航空運送事業の60歳以上の操縦者は6ヶ月。自家用の40歳未満は最大5年(ただし年齢に応じた上限あり)。その他は原則1年。この3パターンを確実に覚える。
また、航空身体検査の有効期間にかかわらず、身体検査の結果、当該有効期間を経過する前に身体検査基準に適合しなくなるおそれがあると認められる者については、有効期間が短縮されることがあります。
04身体障害・業務停止の規定
これは非常に重要な規定です。身体検査証明が有効期間内であっても、身体検査基準に適合しなくなった場合(病気・負傷等)は直ちに航空業務を停止しなければなりません。「有効期間内だから大丈夫」という判断は誤りであり、自己申告による業務停止が義務付けられています。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 身体検査基準に適合しなくなった | 証明の有効期間内でも即座に航空業務を停止。回復後は再検査が必要。 |
| アルコール・薬物の影響 | 血液1Lにつき0.2g以上または呼気0.09mg/L以上のアルコール濃度、またはこれらの影響により正常な運航ができないおそれがある状態では航空業務禁止(法70条)。 |
| 服薬・薬物使用 | 航空業務に支障をきたすおそれのある薬物の影響がある場合も業務禁止。処方薬であっても確認が必要。 |
アルコール規制について:航空法は飛行前12時間以内の飲酒を禁止する規定(通達)があります。血中アルコール濃度の法的基準(0.2g/L)に加え、「正常な運航ができないおそれがある状態」という包括的な基準があるため、前夜の飲酒であっても翌朝のフライトに影響がある場合は業務停止義務があります。
05航空英語能力証明との関係
航空英語能力証明が必要な飛行は以下の通りです。①本邦内の地点と本邦外の地点との間において行う飛行、②本邦外の各地間において行う飛行(本邦以外の国の領域を航行するものに限る)、③本邦内から出発して着陸することなしに本邦以外の国の領域を通過し、本邦内に到達する飛行。
| 言語能力レベル | 有効期間 |
|---|---|
| レベル4(ICAOレベル4相当) | 3年 |
| レベル5(ICAOレベル5相当) | 6年 |
| レベル6(ICAOレベル6相当) | 無期限 |
06口述試験 Q&A
まとめ
- ✓第一種:事業用・定期運送用・准定期・機関士。第二種:自家用・航空士・通信士。
- ✓有効期間の原則:事業用以上は1年。60歳以上の運送事業操縦者は6ヶ月。自家用40歳未満は最大5年。
- ✓証明が有効でも、身体基準不適合・アルコール超過・薬物影響がある場合は業務停止義務(法71条)。
- ✓アルコール基準:血液0.2g/L以上または呼気0.09mg/L以上の場合業務禁止(法70条)。
- ✓英語能力証明:国際飛行に必要。レベル4=3年、レベル5=6年、レベル6=無期限。

