IFR
IFR飛行に必要な搭載燃料と代替飛行場|条件・計算方法を現役パイロットが解説
✈ この記事でわかること
- IFR飛行に必要な搭載燃料の計算方法(代替地あり・なし)
- 離陸代替飛行場・目的地代替飛行場の選定条件
- 代替飛行場を取らなくていい条件
- 口述試験で頻出の数値・条件を整理した実践Q&A
「搭載燃料はどう計算するの?」「代替地はどこに取ればいいの?」IFR飛行の準備で多くの学生パイロットが迷うポイントです。試験でも具体的な数値を問われることが多く、曖昧な理解では答えられません。
結論からお伝えすると、IFRの搭載燃料は代替飛行場の有無によって計算方法が異なり、それぞれ明確な基準があります。ヘリコプターだけでなく飛行機のパイロットを目指す方にも共通して必要な知識です。この記事を読めば、燃料計算と代替飛行場の選定条件を正確に覚えて口述試験に臨めます。
✓ この記事が役立つ人
- IFRの搭載燃料・代替地の条件を整理したい方
- 計器飛行証明の口述試験対策をしている方
- フライトプラン作成の知識を深めたい方
01IFR飛行に必要な搭載燃料
定義|IFR飛行の搭載燃料
IFR飛行に必要な搭載燃料は、代替飛行場の有無によって異なる。いずれの場合も目的地までの燃料に加え、待機・予備燃料を搭載しなければならない。
代替飛行場なしの場合
目的地代替飛行場を取らない場合、以下の燃料が必要です。
| 燃料の種類 | 内容 |
|---|---|
| 目的地までの燃料 | 出発地から目的地まで飛行するために必要な燃料 |
| 待機燃料 | 目的地上空1,500ftで30分間待機できる燃料 |
| 予備燃料 | 15分分の燃料、または目的地までの10%のいずれか多い方※ |
🔑 10%ルールが適用される条件
目的地までの飛行時間が2時間30分以上の場合、予備燃料は目的地までの燃料の10%が15分分を上回るため、10%が適用される。2時間30分未満であれば15分分が多くなる。
目的地までの飛行時間が2時間30分以上の場合、予備燃料は目的地までの燃料の10%が15分分を上回るため、10%が適用される。2時間30分未満であれば15分分が多くなる。
代替飛行場ありの場合
目的地代替飛行場を取る場合は、上記に加えて目的地から代替飛行場までの燃料も必要です。
| 燃料の種類 | 内容 |
|---|---|
| 目的地までの燃料 | 出発地から目的地まで飛行するために必要な燃料 |
| 待機燃料 | 目的地上空1,500ftで30分間待機できる燃料 |
| 予備燃料 | 15分分または目的地までの10%のいずれか多い方 |
| 代替地までの燃料 | 目的地から代替飛行場まで飛行するために必要な燃料 |
待機燃料は目的地上空のどの高さで計算するんですか?
目的地上空1,500ftです。この高度で30分間待機できる燃料量を搭載することが基準になっています。試験では「1,500ft」「30分」の2つの数値をセットで覚えておいてください。
02離陸代替飛行場の選定条件
定義|離陸代替飛行場
離陸飛行場の気象条件が離陸最低気象条件を下回っている場合や、離陸後に緊急着陸が必要になった際に使用するために選定する代替飛行場。
離陸代替飛行場の選定には距離条件があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 距離の基準 | 無風状態で片発(エンジン1基停止)状態での飛行で1時間以内に到達できる距離 |
| 気象条件 | 着陸できる気象条件が確保されていること |
⚠ 「片発で1時間以内」は重要な数値
離陸代替飛行場の距離基準は「無風・片発で1時間以内」です。全発(エンジン全基正常)ではなく片発での計算である点に注意。口述試験で「なぜ片発なのか」と問われた場合は「緊急時を想定しているため」と答えられるようにしておく。
離陸代替飛行場の距離基準は「無風・片発で1時間以内」です。全発(エンジン全基正常)ではなく片発での計算である点に注意。口述試験で「なぜ片発なのか」と問われた場合は「緊急時を想定しているため」と答えられるようにしておく。
03目的地代替飛行場の選定条件
定義|目的地代替飛行場
目的地飛行場に着陸できない場合に向かうために、フライトプランに記載する代替飛行場。IFR飛行では原則として目的地代替飛行場の選定が必要。
目的地代替飛行場は、目的地に着陸できなかった場合の最終的な逃げ場です。選定に当たっては、以下の条件を確認します。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 計器進入方式 | 計器進入方式が設定されている飛行場であること |
| 予想気象条件 | 到着予定時刻に着陸できる気象条件が見込まれること |
| 燃料 | 目的地から代替地まで飛行できる燃料を搭載していること |
04代替飛行場を取らなくていい条件
すべてのIFR飛行で目的地代替飛行場が必要なわけではありません。以下の2つの条件を両方満たす場合は、目的地代替飛行場を取らずに飛行できます。
| 条件 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 計器進入方式 | 目的地飛行場に計器進入方式が設定されていること |
| ② | 気象条件(雲高) | 到着予定時刻に目的地の雲高がDH(決心高度)+400ft以上であること |
| ② | 気象条件(視程) | 到着予定時刻に目的地の地上視程が最低気象条件の視程+1,500m以上であること |
🔑 代替地不要の条件を覚えるコツ
①計器進入方式あり、②DH+400ft・最低視程+1,500mの気象条件を満たすこと。「十分に余裕のある気象が確保されているから代替地が不要」という理由で覚えると忘れにくい。
①計器進入方式あり、②DH+400ft・最低視程+1,500mの気象条件を満たすこと。「十分に余裕のある気象が確保されているから代替地が不要」という理由で覚えると忘れにくい。
DH+400ftって、具体的にどのくらいですか?
例えばILS進入のDHが200ftなら、200+400=600ft以上の雲高が必要です。最低気象条件に400ftのバッファを乗せた高さが目安になります。視程も同様に最低値に1,500mを加えた余裕が必要です。
05口述試験Q&A
IFR飛行で目的地代替飛行場を取らない場合の搭載燃料を説明してください。
目的地までの燃料に加え、目的地上空1,500ftで30分間待機できる燃料、および15分分の予備燃料または目的地までの燃料の10%のいずれか多い方が必要です。飛行時間が2時間30分以上の場合は10%が適用されます。
1,500ft・30分待機・15分または10%・2時間30分
離陸代替飛行場の距離条件を答えてください。
無風状態で片発(エンジン1基停止)状態での飛行で、1時間以内に到達できる距離の飛行場を選定します。
無風・片発・1時間以内
目的地代替飛行場を取らなくていい条件を答えてください。
目的地飛行場に計器進入方式が設定されており、かつ到着予定時刻に雲高がDH+400ft以上、地上視程が最低気象条件の視程+1,500m以上の気象条件が確保されている場合です。
計器進入方式あり・DH+400ft・視程+1,500m
代替飛行場ありの場合の搭載燃料と、なしの場合の違いを説明してください。
代替飛行場ありの場合は、代替なしの燃料(目的地まで+待機30分+予備)に加えて、目的地から代替飛行場まで飛行するための燃料が追加で必要になります。
代替地ありは目的地→代替地の燃料が追加
予備燃料の「15分または10%のいずれか多い方」について、10%が適用されるのはどのような場合ですか?
目的地までの飛行時間が2時間30分以上の場合です。飛行時間が長くなるほど10%の燃料量が15分分を上回るため、10%が適用されます。
2時間30分以上・10%が15分分を上回る
まとめ
- ✓代替地なしの燃料:目的地まで+1,500ft上空30分待機+15分または10%
- ✓代替地ありの燃料:上記に目的地→代替地の燃料を追加
- ✓10%ルールは飛行時間2時間30分以上の場合に適用
- ✓離陸代替地の距離条件:無風・片発で1時間以内
- ✓代替地不要の条件:計器進入方式あり+DH+400ft・視程+1,500mの気象
【免責事項】本記事は口述試験対策を目的とした解説記事です。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、規則の詳細は変更される場合があります。実際の飛行および試験準備にあたっては、最新の航空法令・AIP・所属訓練機関の指示を必ずご確認ください。

