計器飛行方式(IFR)とは|計器飛行・計器航法との違いを現役パイロットが解説

IFR(計器飛行)
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IFR

計器飛行方式(IFR)とは|計器飛行・計器航法との違いを現役パイロットが解説

✈ この記事でわかること
  • 計器飛行・計器航法・計器飛行方式の定義と違い
  • 計器飛行方式(IFR)で飛行できる条件と制限
  • 計器飛行証明を取得してもIFRで飛べない場合とは
  • 口述試験で頻出の数値・条件を整理した実践Q&A

「計器飛行」「計器航法」「計器飛行方式」——この3つの違いを正確に説明できますか?口述試験でよく問われるにもかかわらず、混同して覚えている受験者が多いテーマです。

結論からお伝えすると、この3つはそれぞれ定義が明確に異なります。計器飛行は「飛行方法」、計器航法は「計器飛行以外での航法方法」、計器飛行方式は「管制機関の指示に常時従って飛行する方式」です。この記事を読めば、3つの概念を整理して口述試験で迷わず答えられるようになります。なおIFRの知識はヘリコプターだけでなく、飛行機のパイロットを目指す方にも共通して必要な内容です。

✓ この記事が役立つ人
  • 計器飛行証明の取得を目指している方
  • IFR・VFRの違いを整理したい学生パイロット
  • 口述試験でIFR関連の定義問題を対策したい方
⚠ こんな方は先に基礎を
  • IFRとVFRの区別がまだあいまいな方

✈ 「IFRとVFRにおける管制の違い」を読む →

013つの用語の定義と違い

定義|計器飛行(Instrument Flight)
航空機の姿勢・高度・位置・進路を計器にのみ依存して飛行する方法。雲中・暗夜・火山灰・黄砂など、外部視界が得られない状況で行う飛行。
定義|計器航法(Instrument Navigation)
計器飛行以外の飛行において、航空機の位置・進路を計器にのみ依存して行う方法。雲上・洋上飛行など、視界はあるが地上目標が得られない状況で使用する。距離30分または110kmを超える場合に実施が求められる。
定義|計器飛行方式(IFR:Instrument Flight Rules)
細部は航空法第2条に定められているが、管制機関の指示に常時従って飛行する方式。気象条件に関わらず実施できるが、最低気象条件を下回る場合は飛行不可。

この3つは混同しやすいですが、整理すると以下の通りです。

用語 定義のポイント 実施できる気象条件
計器飛行 姿勢・高度・位置・進路を計器のみに依存 天気が良いとできない(雲中・暗夜など)
計器航法 位置・進路を計器のみに依存(計器飛行以外) 天気が良いとできない(雲上・洋上など)
計器飛行方式(IFR) 管制機関の指示に常時従って飛行する方式 晴れでも実施可能(最低気象条件の範囲内)
🔑 試験頻出の逆説的ポイント
「晴れているとできないもの」→ 計器飛行・計器航法
「晴れていてもできるもの」→ 計器飛行方式(IFR)
この逆の関係を正確に覚えておくこと。
🙋

学生パイロット

計器飛行方式は晴れでもできるんですか?IFRなのに?

教官

そうです。IFRは「計器だけで飛ぶ方法」ではなく「管制の指示に常時従う方式」です。晴れていても管制の指示に従いながら飛行することはできます。ただし最低気象条件を下回る場合は飛行できません。

02計器飛行方式(IFR)で飛行できる条件

計器飛行証明を取得しただけでは、IFRで飛行できるわけではありません。以下の5つの条件をすべて満たす必要があります。

条件 1
最低気象条件を満たしていること飛行場・飛行経路の最低気象条件(視程・雲高など)を満たしている必要があります。最低気象条件を下回る場合は飛行不可です。

条件 2
必要な搭載燃料があること代替飛行場の有無によって必要燃料量が異なります。代替地なしの場合は目的地まで+1,500ft上空で30分待機+15分分、または目的地までの10%(飛行時間2時間30分以上の場合)が必要です。

条件 3
必要装備品を搭載していることIFR飛行に必要な計器・無線機器類がすべて正常に作動していることが必要です。

条件 4
最近の飛行経験があること操縦する日からさかのぼって180日以内に6時間の計器飛行経験が必要です。

条件 5
飛行計画(FPL)を提出していることIFR飛行には飛行計画の提出が義務付けられています。

シングルパイロットIFRについて
単独でのIFR飛行は可能ですが、運送事業におけるIFRはシングルパイロットでは実施できません。事業運航と自家用・事業用の違いを区別して覚えておくこと。

03計器飛行方式で飛行できない空域

IFRで飛行できない空域
①非管制区(Uncontrolled Airspace):管制機関の指示に従う前提のIFRは、管制が及ばない非管制区では実施不可。
②高度29,000ft以上:RNAVおよびRVSM(縮小垂直間隔)の承認が別途必要。
飛行できない空域 理由・補足
非管制区 IFRは管制機関の指示に常時従う方式のため、管制が及ばない空域では実施不可
29,000ft以上 IFRに加えてRNAV・RVSM承認が必要。通常のIFR承認だけでは不可

04計器飛行の経歴要件

IFRで飛行するために必要な「最近の飛行経験」の詳細を確認します。

項目 内容
必要経歴 操縦する日からさかのぼって180日以内に6時間の計器飛行
経歴として認められる飛行 ①雲中での計器飛行 ②VMC(有視界気象条件)でのフード飛行 ③模擬飛行装置(FTD)での飛行
雲中飛行時の監督者要件 計器飛行証明が必要
フード飛行時の監督者要件 計器飛行証明は不要
FTD使用時の監督者要件 監督者に指定されていなければならない(監督者になるには計器飛行証明が必要)
🔑 フード飛行と雲中飛行の監督者要件の違い
フード飛行の監督者は計器飛行証明が不要。雲中飛行の監督者は計器飛行証明が必要。この違いは頻出ポイント。

05計器飛行証明の受験に必要な経歴

経歴の種類 必要時間
野外飛行(機長として) 50時間以上
フード飛行 40時間以上

計器飛行証明の受験には、機長として50時間以上の野外飛行と40時間以上のフード飛行が必要です。これらは計器飛行証明取得後のIFR飛行経歴(180日以内6時間)とは別の要件であることに注意してください。

06口述試験Q&A

👨

試験官

計器飛行とはどのような飛行ですか?

受験者

航空機の姿勢・高度・位置・進路を計器にのみ依存して飛行する方法です。雲中・暗夜・火山灰・黄砂など外部視界が得られない状況で行われます。
計器にのみ依存・雲中・暗夜・火山灰・黄砂
👨

試験官

計器飛行方式とはどのような方式ですか?計器飛行との違いを含めて答えてください。

受験者

計器飛行方式は、航空法第2条に定められており、管制機関の指示に常時従って飛行する方式です。計器飛行が「計器のみに依存する飛行方法」であるのに対し、計器飛行方式は「管制に従う飛行方式」であり、晴天時でも実施できる点が異なります。
管制機関の指示・常時従う・晴天でも可
👨

試験官

計器飛行証明を取得したら、いつでもIFRで飛べますか?

受験者

いいえ、証明を取得しただけでは不十分です。①最低気象条件を満たしていること、②必要な搭載燃料があること、③必要装備品を搭載していること、④180日以内に6時間の計器飛行経験があること、⑤飛行計画を提出していること、以上の5つの条件をすべて満たす必要があります。
最低気象条件・搭載燃料・装備品・飛行経験・FPL
👨

試験官

IFRで飛行方式による飛行ができない空域を答えてください。

受験者

非管制区と、高度29,000ft以上の空域です。29,000ft以上ではIFRに加えてRNAVおよびRVSMの承認が別途必要になります。
非管制区・29,000ft以上・RNAV・RVSM
👨

試験官

計器飛行の最近の経歴要件を答えてください。

受験者

操縦する日からさかのぼって180日以内に6時間の計器飛行が必要です。経歴として認められるのは、雲中での計器飛行・VMCでのフード飛行・模擬飛行装置(FTD)による飛行の3種類です。
180日以内・6時間・雲中・フード・FTD

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まとめ

  • 計器飛行は「計器のみに依存する飛行方法」、計器飛行方式は「管制の指示に常時従う方式」
  • 計器飛行・計器航法は晴天時にはできない。計器飛行方式は晴天でも実施可能
  • IFRで飛ぶには最低気象条件・燃料・装備品・飛行経験・FPLの5条件が必要
  • 計器飛行の経歴要件は180日以内に6時間(雲中・フード・FTD)
  • IFRで飛行できない空域は非管制区と29,000ft以上

【免責事項】本記事は口述試験対策を目的とした解説記事です。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、規則の詳細は変更される場合があります。実際の飛行および試験準備にあたっては、最新の航空法令・AIP・所属訓練機関の指示を必ずご確認ください。

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