トランスポンダーとスクオークコード

管制
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トランスポンダーとスクオークコード

✈ この記事でわかること
  • トランスポンダーの役割と動作の仕組み
  • モードA・C・Sの違いと使い分け
  • 緊急時に使うスクオークコード(7700・7600・7500)の意味
  • SSR・MLATとトランスポンダーの関係

「スクオークのコード設定を間違えたらどうなるんだろう…」「モードAとモードCとモードSって、結局何が違うの?」と悩んでいませんか。

結論からお伝えすると、トランスポンダーは「位置・識別・高度を地上に自動報告する装置」であり、コードと一緒に覚えれば一気に整理できます。

トランスポンダーは航空機の運航で毎日使う装備ですが、口述試験では仕組みやコードの意味を聞かれることが多いです。実務と試験の両方で必要な知識なので、一度しっかり押さえておくと長く役立ちます。

この記事を読み終えれば、緊急コードを瞬時に答えられ、モードA・C・Sの違いも明確に説明できるようになります。

✓ この記事が役立つ人
  • 計器飛行証明の口述試験を控えている
  • 緊急コード(7700等)を整理して覚えたい
  • モードA・C・Sの違いがあいまいな方
  • SSRやMLATの仕組みを知りたい方
⚠ こんな方は先に基礎を
  • レーダー管制の基礎が分からない方

✈ 「管制機関の種類」を読む →

01トランスポンダーとは何か

🙋

学生パイロット

毎回スクオーク〇〇〇〇って指示されますけど、これは何のための装置なんですか?

教官

地上の二次レーダー(SSR)から問合せ信号が飛んでくると、機上のトランスポンダーが識別コードと高度を自動で返す。これで管制官のレーダーには「誰が・どこに・どの高度で」飛んでいるかが一目でわかるんだ。
定義
トランスポンダー(transponder)とは、地上のSSR(Secondary Surveillance Radar:二次レーダー)からの問合せ信号を受信し、自動的に識別コードと高度情報を含む応答信号を発信する機上装置である。管制機関はこの応答を利用して、航空機の位置・識別・高度を一元的に把握する。

一次レーダー(PSR)は機体反射波しか使わないため、位置はわかっても誰だかは分からない。これに対しSSRはトランスポンダーと連動するため、位置・識別・高度がセットで取得できる。これが管制業務の効率と安全を支えている。

🔑 一次レーダー(PSR)=位置のみ/二次レーダー(SSR)=位置+識別+高度。試験ではこの違いを問われることが多い。

02モードA・C・Sの違い

トランスポンダーには複数のモードがあり、応答する情報が異なる。現代の航空管制ではモードSが主流だが、すべての基本となるA・Cも理解しておこう。

モードA
4桁の識別コードのみを応答

0000〜7777の8進数で構成されたスクオークコードを返す。これが管制機関に割り当てられた「便名タグ」のような役割を果たす。

モードC
識別コード+気圧高度(100ft刻み)を応答

モードAに加えて気圧高度を自動送信する。管制官のレーダーディスプレイ上に高度が表示されるのはこのモードのおかげ。RVSM対応空域で必須。

モードS
固有24ビットアドレス+多機能データ通信

航空機ごとに固有の24ビットアドレスを持ち、モードA・Cの機能に加えて様々なデータをやり取りできる。TCAS・ADS-Bにも対応する最新モード。

🔑 覚え方:A=識別、C=高度追加、S=固有アドレス+多機能。「A→C→Sの順で機能が拡張」と覚えると整理しやすい。

03スクオークコードの種類と意味

スクオークコードは4桁の8進数で、0000〜7777まで4,096通り存在する。通常は管制機関がフライトプランに基づいて割り当てるが、いくつかのコードは国際的に特別な意味が定められている。

コード 意味 使用シーン
7700 緊急事態(Emergency) エンジン停止・医療緊急など、即時の支援が必要な場合
7600 通信途絶(Radio Failure) 無線機の故障・周波数問題で管制と交信できない場合
7500 ハイジャック(Unlawful Interference) 不法な干渉・乗っ取り等を受けている場合
2000 VFR・コード未指定時 管制機関からコードが指定されていないVFR飛行のデフォルト
1200 VFR(米国方式) 主に米国でのVFRデフォルトコード

⚠ 緊急コード7500・7600・7700は管制機関のディスプレイに優先表示される。誤って設定しないよう、コード変更時は必ず確認すること。万が一誤設定した場合は、直ちに正しいコードに戻し管制機関に報告する。

コードの読み方は4桁の数字を1字ずつ読む。例えば「2100」は“code two one zero zero”、ICAO方式で1,000単位の場合は「2000」を“squawk two thousand”と読む。

04SSR・MLATとの関係

🙋

学生パイロット

最近MLATっていうシステムも聞きますけど、レーダーと何が違うんですか?

教官

MLATはトランスポンダーの信号を3〜4か所の受信局で受け、受信時刻の差で位置を計算するシステムだ。SSRよりブラインドエリアが少なく、悪天候下での監視性能も高い。日本では成田・羽田・関西などの主要空港で運用されている。
システム 仕組み 特徴
PSR(一次レーダー) 機体からの電波反射を受信 位置のみ。識別・高度は不明
SSR(二次レーダー) トランスポンダーへの問合せ→応答 位置+識別+高度(モードC/S)が取得可能
MLAT(マルチラテレーション) 複数受信局での受信時刻差から位置算出 ブラインドエリアが少ない・地上走行監視にも対応

レーダーの種類別に役割が分担されている。エンルートではARSR(航空路監視レーダー、半径250NM級)、ターミナルではASR(空港監視レーダー、半径60〜80NM級)が運用される。これらすべてがトランスポンダーと連動して識別と高度を把握している。

🔑 主要空港の地上走行監視に使われるMLATは、悪天候や近接機の混雑時にも有効。RVSM高度監視や成田の同時平行出発機監視にも活用されている。

05口述試験Q&A(5問)

👨

試験官

トランスポンダーの役割を説明してください。

受験者

トランスポンダーは地上の二次レーダー(SSR)からの問合せ信号を受信し、スクオークコードと気圧高度情報を含む応答信号を自動的に発信する機上装置です。これにより管制機関は航空機の位置・識別・高度を一元的に把握し、安全な管制業務を行うことができます。
SSRと連動・スクオークコード(識別)・気圧高度の自動応答
👨

試験官

モードA・C・Sの違いを説明してください。

受験者

モードAは4桁のスクオークコード(識別情報)のみを応答します。モードCはモードAに加えて気圧高度(100ft刻み)を自動応答します。モードSは航空機ごとに固有の24ビットアドレスを持ち、識別・高度に加えて多様なデータ通信ができる最新モードで、TCASやADS-Bにも対応しています。
A=識別のみ・C=識別+高度・S=固有アドレス+多機能(TCAS/ADS-B対応)
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試験官

緊急時のスクオークコードを3つ挙げてください。

受験者

緊急事態は7700、通信途絶は7600、ハイジャックは7500です。これらは国際的に共通の特別コードであり、設定すると管制機関のレーダーディスプレイに優先表示されます。
7700=緊急・7600=通信途絶・7500=ハイジャック
👨

試験官

一次レーダーと二次レーダーの違いは何ですか?

受験者

一次レーダー(PSR)は航空機の機体から反射した電波で位置のみを把握します。二次レーダー(SSR)は機上のトランスポンダーへ問合せ信号を送り、応答信号から位置・識別・高度をセットで把握します。SSRの方が情報量が多く、管制業務の効率と安全性が大幅に向上します。
PSR=位置のみ・SSR=位置+識別+高度
👨

試験官

マルチラテレーションシステムとはどのようなシステムですか?

受験者

マルチラテレーションシステム(MLAT)は、航空機のトランスポンダーからの信号を3か所以上の受信局で受信し、受信時刻の差から位置を算出・表示する監視システムです。SSRに比べてブラインドエリアが少なく、悪天候でも監視性能が低下しにくい特長があり、地上走行中の航空機の監視にも応用されています。
複数受信局での受信時刻差・ブラインドエリアが少ない・地上走行監視も対応

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まとめ

  • トランスポンダーはSSRからの問合せに自動応答し、識別・高度を管制機関に提供する装置
  • モードA=識別のみ、モードC=識別+高度、モードS=固有アドレス+多機能
  • 緊急コード:7700(緊急)・7600(通信途絶)・7500(ハイジャック)
  • PSRは位置のみ、SSRは位置+識別+高度を取得
  • MLATは複数受信局の受信時刻差を利用。SSRのブラインドエリアを補完する最新監視システム

【免責事項】本記事は口述試験対策を目的とした解説記事です。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、装備・方式の詳細は変更される場合があります。実際の飛行および試験準備にあたっては、最新のAIP(航空路誌)・航空法令・所属訓練機関の指示を必ずご確認ください。

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