管制区・管制圏・進入管制区の違い
01管制空域の全体像
日本の空域(福岡FIR)は大きく「管制空域」と「非管制空域(クラスG)」に分けられる。管制空域の中にもさらに種類があり、それぞれ設定される目的・高度・範囲・適用クラスが違う。
パイロットとして最低限押さえておくべきなのが、管制区・進入管制区・管制圏の3つだ。ざっくり言うと、管制区はエンルート(巡航空域)、進入管制区は出発・到着のターミナル空域、管制圏は飛行場直近の空域を指す。
🔑 管制区・進入管制区・管制圏はそれぞれ「高さ」「水平範囲」「担当機関(ACC・進入管制所・タワー)」がセットになっている。試験ではこの3要素を整理して答えよう。
02管制区(Control Area / CTA)
管制区の下限高度は、その場所の地形・飛行場の種類によって以下の4パターンに定められている。
| 区分 | 下限高度の設定条件 |
|---|---|
| ① | 管制圏の上空については、当該管制圏の上限高度 |
| ② | 計器飛行による進入方式または出発方式が設定されている飛行場の標点を中心とする半径36km(20マイル)の円内(管制圏を除く)区域については地表または水面から200m(700フィート) |
| ③ | 進入管制区が指定されている飛行場において、②の区域の外側で、飛行場の標点を中心とする半径72km(40マイル)の円内の区域については地表または水面から300m(1,000フィート) |
| ④ | 上記①〜③にも当てはまらない区域については地表または水面から600m(2,000フィート) |
管制区の上限はなく(無上限)、FL290以上はクラスA、特別管制空域はクラスBまたはC、それ以外の管制区はクラスEに分類される。また管制区の底面と地表との間(管制圏・情報圏を除く)および洋上管制区の底面と海面の間は非管制空域としてクラスGに分類される。
管制区を担当する機関は管制区管制所(ACC / Area Control Center)だ。日本では札幌・東京・神戸・福岡の4か所のACCが管轄空域を分担している。
03進入管制区(Approach Control Area)
進入管制区はターミナル管制所(ターミナル・レーダー管制業務を行う機関)が担当する。飛行場から出発した航空機が管制区を出域するまでの間、および進入管制区に入域した到着機が飛行場管制所(タワー)に移管されるまでの間、主に出発・到着機を扱っている。
ターミナル管制所のコールサインは出域管制席が「デパーチャー」、入域管制席が「アプローチ」「レーダー」または「アライバル」が使われる。TCAアドバイザリー業務を担当する管制席のコールサインは「TCA」が使われる。
🔑 進入管制区は国際標準のクラスEに分類される(特別管制空域を除く)。ヘリコプターがIFRで出発・進入する際に最も頻繁に交信する管制機関がこのターミナル管制所(進入管制所・アプローチコントロール)だ。
また、進入管制区の一部としてTCA(Terminal Control Area / ターミナルコントロールエリア)が設定されている飛行場がある。TCAはVFR機の輻輳する空域で、VFR機に対してTCAアドバイザリー業務が提供される。クラスEに分類される。
04管制圏(Control Zone / CTR)
管制圏は通常、飛行場の標点から半径9kmの円で囲まれる区域の上空で、地表面から告示で指定された高度(平均海面高度:MSL)までの空間である。民間飛行場にはこの高度は3,000フィートが標準だが、自衛隊の飛行場ではこれよりも高い高度を上限とするところが多く、特にジェット戦闘機が常駐している飛行場では6,000フィートまでを上限としている。
管制圏を担当する機関は飛行場管制所(Tower)だ。離陸・着陸する航空機および飛行場走行区域を走行する航空機・車両等に対して安全を支援するのがその業務である。
管制圏内では、IFR機相互間、IFR機とスペシャルVFR機間およびスペシャルVFR機相互間に管制間隔が設定される。VFR機には管制間隔は設定されないが、適宜交通情報が提供される。
⚠ 管制圏内で離着陸する航空機は、あらかじめ管制機関の許可を得なければならない。管制圏を通過するだけの場合も管制圏を通過する前に管制機関に連絡して許可を受けることが望ましい。
05航空交通情報圏(Information Zone)
情報圏は通常、飛行場の標点から半径9kmの円で囲まれる区域の上空で、地表面から告示で指定された高度(MSL)までの空間である。情報圏内では飛行場管制業務は提供されないが、情報圏が指定されている空港には飛行場対空援助局(レディオ)が設置され、情報の提供と管制承認等の中継業務が行われている。
情報圏内を飛行する場合は、情報圏内における他の航空機に関する情報を入手するためレディオに連絡し、IFR機はその周波数を聴取していなければならない。VFR機はスペシャルVFRによる離着陸を行うことができる。
06洋上管制区
洋上管制区(Oceanic Control Area)とは日本が航空交通業務を担当する福岡FIRの洋上空域であって、QNH適用域境界線の外側にあり、原則として海面から1,700m(5,500フィート)以上の空間をいう。洋上管制区は20,000フィート以上が国際標準のクラスA、5,500フィート以上20,000フィート未満がクラスEに分類される。
洋上空域はVHFの地上空通信の電波が届かないことから、航空機の通信・航法・監視方式が国内飛行とは異なる。洋上管制区のみに適用される主な方式として、位置通報方式・管制間隔の基準・マックナンバーテクニックによる管制間隔の短縮・RNP10/RNP4の運航・RVSMの適用・CPDLCの使用などがある。
073つの空域を横断比較
| 空域 | 水平範囲 | 垂直範囲 | クラス | 担当機関 |
|---|---|---|---|---|
| 管制区(CTA) | QNH適用域境界線内すべて | 下限高度〜上限なし | A / B / C / E(高度・場所による) | 管制区管制所(ACC) |
| 進入管制区 | 管制区の一部(交通量の多い空域) | 管制区下限〜指定高度 | E(特別管制空域はB/C) | ターミナル管制所(進入管制所) |
| 管制圏(CTR) | 飛行場標点から半径9km | 地表〜告示指定高度(通常3,000ft) | D | 飛行場管制所(タワー) |
| 情報圏 | 飛行場標点から半径9km | 地表〜告示指定高度 | E(与那国を除く) | 飛行場対空援助局(レディオ) |
| 洋上管制区 | QNH適用域境界線外(洋上) | 海面から1,700m(5,500ft)以上 | 20,000ft以上:A / 未満:E | 管制区管制所(ACC) |
🔑 管制圏はクラスD・半径9km・通常3,000ft・タワー担当。情報圏はクラスE・同じく半径9km・レディオ担当。この2つはサイズは同じだが担当機関とクラスが違う点に注意。
08口述試験Q&A
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まとめ
- ✓管制区はQNH適用域境界線内・上限なし・下限600m(一般地域)・ACC担当・クラスA/B/C/E
- ✓進入管制区は出発・到着機の多い区域・クラスE(特別管制空域除く)・進入管制所担当
- ✓管制圏は飛行場標点から半径9km・通常3,000ft・クラスD・タワー担当
- ✓情報圏は管制塔なし飛行場に設定・半径9km・クラスE・レディオ担当
- ✓洋上管制区は福岡FIR洋上・5,500ft以上・20,000ft以上クラスA・HF/CPDLC通信

