技能証明の種類と業務範囲

航空法規
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技能証明の種類と業務範囲|定期・事業・自家用・准定期の違い

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01技能証明とは

技能証明(法22条〜29条)
技能証明とは、航空業務を行おうとする者に対して、国土交通大臣が行う航空従事者技能証明のことです。技能証明は、申請者に航空従事者技能証明書を交付することによって行われます(法23条)。技能証明は表10-5(法24条)に掲げる資格別に行われます。

技能証明を受けていない者は、表10-5に掲げる資格の欄に掲げる技能証明(航空機に乗り込んでその運航を行う者については、同表の資格の欄に掲げる資格の技能証明および航空身体検査証明)を有する者でなければ、同表の業務範囲の欄に掲げる行為を行ってはなりません(法28条)。

国土交通大臣は、技能証明を行う場合には、前項の限定に係る技能証明につき、その技能証明に係る航空従事者の申請により、その限定を変更することができます(法29条の2)。

02操縦士技能証明の種類と業務範囲

操縦士の技能証明は4種類あり、それぞれできる業務の範囲が異なります。上位の資格は下位の資格のできることをすべて含みます。

資格 業務範囲(法24条・表10-5)
定期運送用操縦士 航空機に乗り組んで次の行為を行うこと。
①事業用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為
②機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上その操縦のために2人を要するものの操縦を行うこと
③機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、特定の方法または方式により飛行する場合に限りその操縦のために2人を要するものの操縦を行うこと
事業用操縦士 航空機に乗り組んで次の行為を行うこと。
①自家用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為
②報酬を受けて、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと
③航空機使用事業の用に供する航空機の操縦を行うこと
④機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと
⑤機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上1人の操縦者で操縦することができるもの(特定の方法または方式により飛行する場合に限りその操縦のために2人を要する航空機にあっては、当該特定の方法または方式により飛行する航空機を除く)の操縦を行うこと
自家用操縦士 航空機に乗り組んで、報酬を受けないで無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。
准定期運送用操縦士 航空機に乗り組んで次の行為を行うこと。
①機長以外の操縦者として、構造上その操縦のために2人を要する航空機の操縦を行うこと
②機長以外の操縦者として、特定の方法または方式により飛行する場合に限りその操縦のために2人を要する航空機であって、当該限定の方法または方式により飛行するものの操縦を行うこと

ヘリコプターパイロットの実務上の重要点:ヘリコプターを使った報酬のある仕事(遊覧飛行・農薬散布・取材飛行など)を行うには最低でも事業用操縦士(回転翼航空機)の技能証明が必要です。自家用操縦士では報酬を受けた飛行はできません。

03その他の航空従事者技能証明

資格 業務範囲
一等航空士 航空機に乗り組んでその位置および針路の測定ならびに航法上の資料の算出を行うこと。
二等航空士 航空機に乗り組んで天測による以外の方法で航空機の位置および針路の測定ならびに航法上の資料の算出を行うこと(航法上、地上物標または航空保安施設の利用が完全でない飛行区間が1,300kmをこえる航空機に乗り組んで行う場合を除く)。
航空機関士 航空機に乗り組んで発動機および機体の取扱い(操縦装置の操作を除く)を行うこと。
航空通信士 航空機に乗り組んで無線設備の操作を行うこと。
一等航空整備士 整備をした航空機について航空法第19条第2項本文に規定する確認の行為を行うこと。
二等航空整備士 整備をした航空機(整備に高度な知識および能力を要する国土交通省令で定める用途のものを除く)について法第19条第2項本文に規定する確認の行為を行うこと。
一等航空運航整備士 整備(保守および国土交通省令で定める軽微な修理に限る)をした航空機について法第19条第2項本文に規定する確認の行為を行うこと。
二等航空運航整備士 整備(保守および国土交通省令で定める軽微な修理に限る)をした航空機(整備に高度な知識および能力を要する国土交通省令で定める用途のものを除く)について法第19条第2項本文に規定する確認の行為を行うこと。
航空工場整備士 整備または改造した航空機について法第19条第2項本文に規定する確認の行為を行うこと。

04限定(等級・型式)の仕組み

限定とは(法25条)
国土交通大臣は、技能証明につき、航空機の等級または型式について限定をすることができる。また、前項の技能証明につき、航空機の等級または型式についての限定を行うことができる。

技能証明には「等級限定」と「型式限定」があります。等級とは航空機の種類(飛行機・回転翼航空機等)と特性(陸上単発・水上多発等)による区分です。型式とは特定の航空機の設計・製造の区分です。

限定の種類 内容
等級限定 航空機の種類・動力・陸上/水上・単発/多発による区分 回転翼航空機・陸上単発タービン
型式限定 特定の航空機の型式(製造者・型番)による限定 AS350・Bell 412・AW139等
計器飛行証明 計器飛行・計器飛行方式による飛行を行うための証明。操縦士の技能証明に付記。 IFR飛行を行う場合に必要

型式限定は、最大離陸重量5,700kg超の航空機または航空運送事業に使用されるタービン発動機を装備した飛行機等に対して行われます。ヘリコプターでは大型・双発機(Bell 412・AW139・AS365等)は型式限定が必要になる場合があります。

限定外の航空機を操縦した場合は航空法違反となります。新しい機種への移行訓練(型式転換)を完了し、限定変更を行わなければ、その機種の実任務飛行はできません。

05技能証明取得の要件と試験

技能証明の試験(法26条)
国土交通大臣は、技能証明を行う場合には、その航空業務に必要な知識および能力について学科試験および実地試験を行わなければならない。ただし国際民間航空条約の締約国の政府の授与した操縦資格証明を有する者、または独立行政法人航空大学校もしくは国土交通大臣の指定を受けた航空従事者の養成施設の課程を修了した者については、試験の全部または一部を行わないことができる。
資格 最低飛行時間(概要) 主な学科科目
自家用(回転翼) 40時間以上(うち単独10時間以上) 航空工学・気象・航法・法規・通信
事業用(回転翼) 150時間以上(うち機長として50時間以上) 航空工学・気象・航法・法規・通信・人間の能力と限界
定期運送用(回転翼) 1,500時間以上(うち機長として250時間以上) 事業用と同様+高度な航法・気象

最近の飛行経験(法1018項):技能証明を持っていても、一定期間内の飛行経験がない場合は航空業務を行えません。航空運送事業の用に供する航空機の操縦者は、操縦する日からさかのぼって90日以内に当該航空機と同じ型式の機を3回以上離着陸させた経験が必要です。

06口述試験 Q&A

Q自家用操縦士と事業用操縦士の業務範囲の違いを説明してください。
自家用操縦士は「報酬を受けないで無償の運航を行う航空機の操縦」のみできます。事業用操縦士はこれに加えて、報酬を受けた運航・航空機使用事業(農薬散布・遊覧飛行等)の操縦・航空運送事業の副操縦士としての操縦・単発1人乗務機の機長としての航空運送業務などが行えます。簡単に言えば、報酬を受けて操縦するには事業用操縦士以上の資格が必要です。

自家用=無償・無報酬のみ。事業用=報酬を受けた飛行・航空機使用事業・副操縦士業務が可能。
Q定期運送用操縦士と事業用操縦士の違いを説明してください。
事業用操縦士は機長として単発1人乗務機の航空運送事業の操縦ができますが、2人乗務が必要な航空機の機長にはなれません。定期運送用操縦士は事業用操縦士のできることに加えて、2人乗務が必要な航空運送事業の航空機の機長を務めることができます。大型旅客機・大型ヘリコプターの機長には定期運送用操縦士が必要です。

定期運送用=2人乗務必要な大型機の機長可能。事業用=単発単独乗務機の機長まで。
Q技能証明の「限定」とは何ですか?
技能証明の限定とは、その証明で操縦できる航空機を等級または型式で制限するものです。等級限定は航空機の種類・動力・陸上/水上・単発/多発による区分で、例えば「回転翼航空機・陸上単発タービン」というように限定されます。型式限定は特定の機種(例:AS350、Bell 412等)ごとの限定で、主に大型機・複雑な機体に適用されます。限定外の機体を操縦することは航空法違反です。

限定=証明で操縦できる機体を等級・型式で制限。限定外操縦は違反。

まとめ

  • 操縦士資格の上位順:定期運送用>事業用>自家用(准定期運送用は機長以外専門)。
  • 報酬を受けて飛ぶには事業用操縦士以上が必要。自家用は無償・無報酬のみ。
  • 2人乗務必要な大型機の機長には定期運送用操縦士が必要。
  • 限定(等級・型式)により証明で操縦できる機体が制限される。限定外操縦は違反。
  • 技能証明があっても直近90日以内の飛行経験(3回の離着陸)がなければ運送事業の操縦はできない。
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